法 律
法律 知的財産関連 判例  low intellectual property
首相官邸 知的財産基本法
知的財産基本法(抜粋)
 (平成五年五月十九日法律第四十七号)
最終改正:平成一八年六月七日法律第五五号
第一条(目的)
 この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
第二条(定義) 
 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
  他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
  自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
  他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為
  窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「不正取得行為」という。)又は不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。以下同じ。)
  その営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
  その取得した後にその営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為
  営業秘密を保有する事業者(以下「保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の競業その他の不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為
  その営業秘密について不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその営業秘密を開示する行為又は秘密を守る法律上の義務に違反してその営業秘密を開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその営業秘密について不正開示行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
  その取得した後にその営業秘密について不正開示行為があったこと若しくはその営業秘密について不正開示行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為
  営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する装置(当該装置を組み込んだ機器を含む。)若しくは当該機能のみを有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為
十一  他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する装置(当該装置を組み込んだ機器を含む。)若しくは当該機能のみを有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為
十二  不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
十三  商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
十四  競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
十五  パリ条約(商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第四条第一項第二号に規定するパリ条約をいう。)の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法 条約の締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。以下この号において単に「権利」という。)を有する者の代理人若しくは代表者又はその行為の日前一年以内に代理人若しくは代表者であった者が、正当な理由がないのに、その権利を有する者の承諾を得ないでその権利に係る商標と同一若しくは類似の商標をその権利に係る商品若しくは役務と同一若しくは類似の商品若しくは役務に使用し、又は当該商標を使用したその権利に係る商品と同一若しくは類似の商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは当該商標を使用してその権利に係る役務と同一若しくは類似の役務を提供する行為
  この法律において「商標」とは、商標法第二条第一項に規定する商標をいう。
  この法律において「標章」とは、商標法第二条第一項に規定する標章をいう。
  この法律において「商品の形態」とは、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感をいう。
  この法律において「模倣する」とは、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。
  この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
  この法律において「技術的制限手段」とは、電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)により影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を制限する手段であって、視聴等機器(影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録のために用いられる機器をいう。以下同じ。)が特定の反応をする信号を影像、音若しくはプログラムとともに記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像、音若しくはプログラムを変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。
  この法律において「プログラム」とは、電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。
  この法律において「ドメイン名」とは、インターネットにおいて、個々の電子計算機を識別するために割り当てられる番号、記号又は文字の組合せに対応する文字、番号、記号その他の符号又はこれらの結合をいう。
10  この法律にいう「物」には、プログラムを含むものとする。
第二十一条(罰則)
 次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
  詐欺等行為(人を欺き、人に暴行を加え、又は人を脅迫する行為をいう。以下同じ。)により、又は管理侵害行為(営業秘密が記載され、又は記録された書面又は記録媒体(以下「営業秘密記録媒体等」という。)の窃取、営業秘密が管理されている施設への侵入、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第三条に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の保有者の管理を害する行為をいう。以下同じ。)により取得した営業秘密を、不正の競争の目的で、使用し、又は開示した者
  前号の使用又は開示の用に供する目的で、詐欺等行為又は管理侵害行為により、営業秘密を次のいずれかに掲げる方法で取得した者
  保有者の管理に係る営業秘密記録媒体等を取得すること。
  保有者の管理に係る営業秘密記録媒体等の記載又は記録について、その複製を作成すること。
  営業秘密を保有者から示された者であって、不正の競争の目的で、詐欺等行為若しくは管理侵害行為により、又は横領その他の営業秘密記録媒体等の管理に係る任務に背く行為により、次のいずれかに掲げる方法で営業秘密が記載され、又は記録された書面又は記録媒体を領得し、又は作成して、その営業秘密を使用し、又は開示した者
  保有者の管理に係る営業秘密記録媒体等を領得すること。
  保有者の管理に係る営業秘密記録媒体等の記載又は記録について、その複製を作成すること。
四  営業秘密を保有者から示されたその役員(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいう。次号において同じ。)又は従業者であって、不正の競争の目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、その営業秘密を使用し、又は開示した者(前号に掲げる者を除く。)
  営業秘密を保有者から示されたその役員又は従業者であった者であって、不正の競争の目的で、その在職中に、その営業秘密の管理に係る任務に背いてその営業秘密の開示の申込みをし、又はその営業秘密の使用若しくは開示について請託を受けて、その営業秘密をその職を退いた後に使用し、又は開示した者(第三号に掲げる者を除く。)
  不正の競争の目的で、第一号又は第三号から前号までの罪に当たる開示によって営業秘密を取得して、その営業秘密を使用し、又は開示した者
   次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
   不正の目的をもって第二条第一項第一号又は第十三号に掲げる不正競争を行った者
   他人の著名な商品等表示に係る信用若しくは名声を利用して不正の利益を得る目的で、又は当該信用若しくは名声を害する目的で第二条第一項第二号に掲げる不正競争を行った者
   不正の利益を得る目的で第二条第一項第三号に掲げる不正競争を行った者
   商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量又はその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような虚偽の表示をした者(第一号に掲げる者を除く。)
   秘密保持命令に違反した者
   第十六条、第十七条又は第十八条第一項の規定に違反した者
  第一項及び前項第五号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
  第一項第一号又は第三号から第六号までの罪は、詐欺等行為若しくは管理侵害行為があった時又は保有者から示された時に日本国内において管理されていた営業秘密について、日本国外においてこれらの罪を犯した者にも適用する。
  第二項第五号の罪は、日本国外において同号の罪を犯した者にも適用する。
  第二項第六号(第十八条第一項に係る部分に限る。)の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。
  第一項及び第二項の規定は、刑法その他の罰則の適用を妨げない。
第二十二条
 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条第一項第一号、第二号若しくは第六号又は第二項に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して三億円以下の罰金刑を、その人に対して本条の罰金刑を科する。
  前項の場合において、当該行為者に対してした前条第一項第一号、第二号及び第六号並びに第二項第五号の罪に係る同条第三項の告訴は、その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対してした告訴は、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。
  第一項の規定により前条第一項第一号、第二号若しくは第六号又は第二項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの規定の罪についての時効の期間による。
(抜粋)

第230条(告訴権者)
 犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。

第239条(告発)
 
 何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。
 
 官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。

第241条(告訴・告発の方式)
 
 告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。
 
 検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない。

第242条(告訴・告発を受けた司法警察員の手続き)
 司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。

第246条(司法警察員から検察官への事件の送致)
 司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。

第498条(偽造変造の表示)
 
 偽造し、又は変造された物を変還する場合には、偽造又は変造の部分をその物に表示しなければならない。
 
 偽造し、又は変造された物が押収されていないときは、これを提出させて、前項に規定する手続をしなければならない。
但し、その物が公務所に属するときは、偽造又は変造の部分を公務所に通知して相当な処分をさせなければならない。

判 例
偽造文書行使関係
<弁護士が偽造文書を使用> (大判大7・4・20刑録24-359)
 弁護人が、被告人の使用しようとする証拠が偽造であることを知りながら、被告人の申出を取り次ぎ、裁判所または検事に対してその取調べを求める行為は、弁護人の職責に属するものではない。
<偽造文書行使の判例> (最判昭28・11・13刑集7-11-2096)
 一般人をして実在者の真正に作成した文書と誤信させるおそれが十分にある以上、その名義人が架空であると実在であるとを問わず、本罪は成立する。
<偽造文書行使の判例> (最決昭29・4・15刑集8-4-508)
 文書を真正ないし真実なものとして、その効力に役立たせる目的であればよい。
<偽造文書行使による既遂の判例> (大判大4・9・21刑録21-1390)
 本書の本質的でない部分に変更を加えて、一般人をして、以前とは異なる、あらたな証明力を有するものと誤信させるに足りる程度に達するときに、変造は既遂となる。もっとも、文書に対する公共の信用を害する危険があれば足り、実害を生じさせる必要はない。
<偽造文書行使による既遂の判例> (大判明41・12・21刑録14-1136)
 行使の犯人が、みずから偽造し、または虚偽の記載をした文書でなくてもよい。
<偽造文書行使による既遂の判例> (大判明44・3・24刑録17-458)
 偽造文書または虚偽文書の行使も処罰の対象となる。「行使」とは、偽造文書を真正なものとして、また、虚偽文書を内容の真実なものとして、使用することをいう。
<私用文書等毀棄事件の件例>(最判昭44・5・1刑集23-6-907)
 毀棄とは、必ずしも文書を有形的に毀棄することを要せず、隠匿その他の方法によって、その文書を利用することが出来ない状態に置くことをもって足り、その利用を妨げた期間が一時的であると永続的であると、また、犯人に後日返還の意思があったと否とを問わない。
<詐欺の訴えを提起した事件判決事例>(最判昭63・1・26民集42-1-1)
 訴えの 提起は、提訴者が当該訴訟において主張した権利または法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものである上、同人がそのことを知りながらまたは通常人であれば 容易にそのことを知りえたのにあえて提起したなど、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く場合に限り、相手方に対する違法な行為となる。

知的財産関係
<権利に対する違法な侵害に対抗> (最判昭40・12・7民集19-9-2101)
 私力の行使は原則として法の禁止するところであるが、法律の定める手続によったのでは権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能または著しく困難と認められる緊急やむをえない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許される。
日本国憲法 条文